同愛記念病院アレルギー呼吸器科のブログ

スタッフ4名+医局秘書1名+部長1名で日々楽しく頑張っています。 大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。 後期研修希望者や(現在ほかの病院に勤務されている先生の)期間限定の国内留学のお問い合わせも受け付けております。アレルギー呼吸器以外の御専門の先生でも歓迎いたします。ご興味のある方は allergy6700@yahoo.co.jp までご連絡ください。 <p>☞<a href="https://www.allergy-doai.jp/"target="_blank

風向きは大事です。

先日、米国ダラス(テキサス州)で開催された米国胸部会議(ATS)に参加してきました。往路は東京から乗り継ぎのシアトルまで8時間半、復路は乗り継ぎのサンディエゴから11時間かかりました。同じ日本~米国西海岸でもずいぶんと所要時間に差があるものです。ご存知の方も多いと思いますが、航空機は「風」に大きく影響を受ける乗り物です。みなさんの中にも、ハワイ旅行の際にホノルル行きはわずか6時間半で着くのに復路は日本まで8時間半もかかってしまい「なんでやねん!」とお感じになられた人もおられるのではないかと思います。上空には西から東に向かって風が吹いていますので、日本からハワイへの往路は追い風、ハワイから日本への復路は向かい風となるわけでその影響は大きな所要時間の差となって体感されます。実はアレルギー疾患においても、「風向き」は思った以上に重要な因子として日常臨床に絡んできます。今日はそんなお話しです。

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治った、治ったよ。

今年の春、重症喘息患者を対象として新規分子標的薬であるデュピクセント™(一般名:デュピルマブ)が保険適応になりました。本薬剤はアレルギー性のサイトカインであるIL-4とIL-13を同時に抑制できる画期的な薬剤で、本邦ではすでにアトピー性皮膚炎の保険適応が認められています。今回は、このアトピー性皮膚炎にまつわるお話しです。

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文法は完璧なのに・・・

かつて私が留学していたインペリアルカレッジロンドンには、国内外から学生・大学院生・研究者など様々な職種の人々が集っておりました。その中にはもちろん日本人研究者もおりましたが、彼らの留学中の目標のひとつが「英語の論文を書いて帰りたい」というものでした。国内にいたころにはせっかく投稿してもすぐにリジェクトされてしまってばかりいたので、ここ留学先から投稿すれば掲載される可能性も大幅アップかも…と思ってしまうのは否めません。実際、留学先で大きな業績を挙げてから帰国後に教授になられた先生方も多々おられるのであながち眉唾ともいえないのではないかと思います。そんな中、「何故日本人の投稿する英語論文はなかなか採択されないのか」という普遍的疑問に思わず答えを出す出来事がありました。今日はそれをお話ししますね。

 

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「臨床研究」事始め

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レインボーブリッジ(写真と記事とは関係ありません)


みなさんにとって、「臨床研究」というとどんなイメージですか?面白そうだけどなんだか難しそうとか、やってみたいけど何から手をつけたらよいのかわからないというイメージの方が多いのではないでしょうか。

本日は、臨床研究をしているという自覚をまったく持たずに臨床研究してしまい挙句の果てに学会発表まで行き着いてしまった私の後輩のM先生のお話しを披露しましょう。

 

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本日の天気予報:おおむね咳喘息・たまに結核でしょう。

かつては、気管支喘息患者であっても喘鳴がないという理由で診断が遅れた時代がありました。しかし、現在は喘息に関する啓もうが進んできており、自覚症状として咳嗽のみが見られる「咳喘息」も一般的にかなり認知されてきています。インターネットにもその情報があふれています。

一方で、肺結核は現在もなお社会的に大きな問題となっている疾患ではありますが、一般的には過去の病気として医療従事者以外の方には忘れられている印象もあります。本日は、そんな2つの疾患に関するお話しです。

 

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