同愛記念病院アレルギー呼吸器科のブログ

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痛ない採血は患者さんを救うのか…!?

今更な話題で恐縮ですが、私たち医療従事者が病院・医院で提供しているサービスは患者さんにとって「痛い」ものが多いんですよね~。こどもは素直ですから痛いのは嫌だとはっきり意思表示しますけど、大多数のおとなの患者さんは本当は嫌だと思っていても恥ずかしくて言えないことが多いと思います。そもそも採血然り、点滴・内視鏡・手術に至るまで病院には「痛い」イベントがあふれています。その道のご趣味がおありの方々には逆に天国なのかも知れませんが、あいにく私を含めて大部分の患者さんはそうではありません。したがって、一般ピープル的には病院は疼痛にあふれているな~というのが正直な感想なのです。

 

さて、いい感じにじらしたところで前回の「痛ない採血」の謎に迫ります。丹波哲郎っぽいその先生によりますと、血管の直上の皮膚には「痛点」が密にあるそうなのです。ほんとかよ、と現代の武器・ウェブ検索してもそんなことは書いてありません。そして、なるだけ細い針(2324G)を使い血管直上ではなくすぐ横の皮膚を穿刺して血管の側方から滑らせるように針先を血管内に入れると「痛ない」採血になるそうなのです。眉唾な話にしか聞こえないのですが、恐る恐る(十分に血管が浮き出ている患者さんを選んで)やってみますと…なんと本当に患者さんがあまり痛がらないではないですか!うーんすごい。

もちろんこれで100%「痛なく」なるわけではありません。また皮下で血管側方から穿刺することで難易度が上がりますので穿刺時血管損傷のリスクもあります。あくまで内科基本手技を十分に取得して熟練したうえで、安全面を最優先しながら必要に応じて追加するオプションでしょう。それでも、患者さんのQOL(生活の質)向上にはとてもいい試みなのではないかと思います。そもそも生命体である私たちが生存するためには血管の破綻は何としてでも防がなくてはならないことです。もしそうであれば、表在血管直上の皮膚には多数の痛点がある(であろう)のは至極当然でありそれゆえ血管の穿刺はとても痛いわけです。丹波某先生の技はそれを逆手に取った、臨床医を唸らせるテクニックなのだなと思います。

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