同愛記念病院アレルギー呼吸器科のブログ

スタッフ4名+医局秘書1名+部長1名で日々楽しく頑張っています。 大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。 後期研修希望者や(現在ほかの病院に勤務されている先生の)期間限定の国内留学のお問い合わせも受け付けております。アレルギー呼吸器以外の御専門の先生でも歓迎いたします。ご興味のある方は allergy6700@yahoo.co.jp までご連絡ください。 <p>☞<a href="https://www.allergy-doai.jp/"target="_blank

焼き加減はいかがされますか?

医療系ブログの中でも、当ブログは伸縮自在な4畳半SF的立ち位置でいたいと思う今日この頃です。というわけで今日は新幹線の話題でも書こうかとしましたが、さすがに先生それはないでしょうとアレルギー科の中の人に諭されてやめました。今日は素直にアレルギーのお話しをしますね。新幹線のお話しはいつかまた書きます。

 

 

食物アレルギーが成立するときに、身体の免疫細胞が原因食物の「目印」として認識する蛋白質の構造の一部(ポリペプチドというもの)があります。そりゃ免疫細胞が直接原因食物をモグモグ食べる訳ではありませんので、何らかの目印を頼りにするのが当たり前ですが、その構造を専門用語ではエピトープと呼んでいます。エピトープはそれぞれの食物ごとに違うので、免疫細胞くんは他の食材と間違えることなくきちんと原因食材摂取時のみにアレルギー症状を引き起こしてくれます。

 

ある日、私の外来にひとりの患者さんが来ました。回転寿司屋で甘エビの握りを食べたら全身にじんましんが出たとのことでした。病歴からはエビアレルギーであることは明白でしたので、検査で確認して予防薬・治療薬を処方しました。それからしばらくして、また別の患者さんが来院されました。その方もエビアレルギーでしたが、今度はエビフライやえびせんなどを食べるとじんましんが出るもののお寿司やお刺身の生のエビでは症状が出ないとのことでした。エビアレルギーには少なくとも2種類があることに少し驚いた私は、甘エビアレルギーの方の患者さんが再診された際に加熱したエビでは症状が出ないのか訊いてみました。すると、「エビフライではじんましんは出ないですね。ただ、火の通りが甘いと少しムズムズするかなぁ」とのことでした。

エビという食材特有のエピトープはもちろん蛋白質です。蛋白質は加熱などにより変性しますので、その高次構造の変化でエピトープが折り畳まれたりして免疫細胞に認識されなくなる可能性があります。また、加熱することで初めて出現する別のエピトープをたまたま免疫細胞が異物として認識してしまうと、加熱後のエビにのみ反応してしまうことになります。(無論、両者に反応して症状が出る患者さんもおられます)一口にエビアレルギーといっても、なかなか奥が深いです。臨床的にこんなにも興味深い領域を専門にできる幸せを噛みしめながら、今日も外来で患者さんと相対しています。

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