研究会報告
2019年2月21日夜、Meiji ABC Forum in Tokyoがホテルグランドパレスにて開催されました。本研究会はCOPD治療におけるキードラッグであるLABA/LAMA(長時間作用型気管支拡張薬配合薬)に関するもので、当科の黨 康夫部長が第2部のディスカッションのメンバーとして登壇しました。
総合司会を東海大学附属東京病院呼吸器内科・桑平 一郎先生が務められました。
第1部として松阪市民病院・畑地 治先生が、COPDガイドラインとその実践に関する特別講演を拝聴しました。COPD患者さんと先生が一緒に階段を上り下りする動画があり、LAMA/LABA吸入後の運動耐用能が向上する様子がとても印象的でした。
第2部は、COPD治療におけるICS(吸入ステロイド薬)の位置づけに関するディスカッションから始まりました。GOLDガイドライン2019をたたき台に、虎の門病院呼吸器内科部長・岸 一馬先生とNTT東日本関東病院呼吸器センター長・放生 雅章先生がICSの適応を急性増悪群・末梢血好酸球高値群(300/μl以上)に限定して使用するのが妥当であろうとの意見の一致をみました。その後、当科・黨部長がなぜICSがCOPDには効かないのかという点について基礎的見地から解説しました。COPDにおいては酸化ストレスとその下流にあるPI3K-Akt経路がその炎症の主役と考えられています。この炎症はステロイド不応性かつ細胞のステロイド感受性を低下させます。このことが、ICSがCOPDに対して効果がないもしくは不十分な理由です。また、PI3K-Akt経路を遮断するPI3K阻害薬として低用量のテオフィリンが現在臨床応用可能な薬剤であることにも言及しました。
ディスカッション後半はJR東京総合病院呼吸器内科医長・田中健介先生が、渋谷区で新たに立ち上げられたCOPDの病診連携システムについてわかりやすい解説をされました。
大変勉強になる研究会でした。また機会があればぜひ参加したいと思います。