同愛記念病院アレルギー呼吸器科のブログ

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そりゃ、そうだよね。

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先日、日本アレルギー学会の会長特別企画である国際プログラムの座長を務めさせていただきました。もうひとりの座長および3名のスピーカーがすべて外国人というアウェイ感満点の企画でありました。本番前に通訳を交えての打ち合わせがあるのですが、早速各々のスピーカーの先生方との挨拶をはじめとした会話をいたしました。会長直々に呼ばれた先生方ですので基本的に鼻高々に気分よく来日しておられるわけで、いきおい饒舌になっておられます。そんな彼らのおしゃべりにつらつらとつきあいながら、ふと思うことがありました。今回はそのお話しです。

 

日本人がまず最初にものにしようと思う外国語はもちろん英語だと思います。読み書きはともかく会話はかなりハードルが高いもので、いくら場数を踏んでもなかなか自信がつかない方も多いことでしょう。英語での会話で最も大きな障害となるのはリスニングでありまして、そもそも相手が何を言っているかわからないと会話自体が成立しません。巷には「英会話教材」と称してヘッドホンで繰り返し聞くことができるようなものが流布しております。これで耳を英語の会話の音域に「チューニング」することはとても重要で英会話をものにする第一段階といえます。しかしながら、無事にチューニングが完了しても実際のナチュラルスピードで交わされている会話は教材のそれとはまったく異なり歯が立ちません。ではどうすればナチュラルスピードの会話を沢山リスニングすることができるのでしょう?英語圏に限らずそんな酔狂なお願いに、はいそうですかと応じてくれる暇なひとなどいないでしょう。ここでおそらくはたったひとつの裏技があります。それは、「タイミング良く相槌をうつ」ことです。本屋さんやネット上にあふれる英会話のコツを指南する記述にはほとんどこれは強調されておりません。しかしながら、ネイティブスピーカーのナチュラルスピードの会話を目の前のベストポジションで長時間リスニングするための最大の武器は、実は「相槌」なのです。

実は私も留学直後は、英国人のナチュラルスピードの会話に全くついてゆけずパブでの飲み会では置物と化しておりました。ある日あるときにふと「相槌すればいいのでは?」と気づいて、英語での相槌の表現をいくつか覚えて会話の際に適当なタイミングで放ってみました。するとどうでしょう(笑)、それまでは30秒~1分程度で途切れていた私との会話が全然止まらなくなったではありませんか!私はこれで毎日おなかいっぱい代わる代わる異なる英国人の同僚の生きた英語をリスニングすることができ、そのうちにいつのまにか彼らとフツーに会話できるようになっておりました。

良く考えてみれば、私たち日本人だって会話時には無意識に相槌をうっています。相槌が程よいタイミングで入ることで話し手は会話のリズムに乗ることができて、その結果果てしなくおしゃべりすることができます。仮に相槌がない状況での会話、たとえば人形に向かって独り言を述べていてもおそらくは3分も続かないものと思います。(なかには長時間人形に向かってお話しできる方もおられるかもですが、それはそれでかなり特殊な性癖なのかもしれません)自分が述べていることに対して肯定的もしくは否定的に相槌を打ってもらうことでここまで話が続くのかと驚くとともに、これこそが英会話学習の神髄のひとつであることを認識できました。実際に「相槌」をうつときには肯定の相槌を数種類と「そのことについてはよくわからない」という中立的相槌があればまずは事足ります。否定の相槌をしてしまうと、「それならば君はどう思うんだい?」と聞き返されていきなり応用問題になりますので初心者にはおすすめできません。上級者になるまでは代わりに中立的相槌をうっておきましょう。最初に触れた3名のスピーカーを、私が控室にて果てしなくしゃべらせたからくりをご理解いただけたでしょうか?「相槌作戦」により、みなさんの英会話力が一段と向上されることを心より祈っております。