同愛記念病院アレルギー呼吸器科のブログ

スタッフ4名+医局秘書1名+部長1名で日々楽しく頑張っています。 大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。 後期研修希望者や(現在ほかの病院に勤務されている先生の)期間限定の国内留学のお問い合わせも受け付けております。アレルギー呼吸器以外の御専門の先生でも歓迎いたします。ご興味のある方は allergy6700@yahoo.co.jp までご連絡ください。 <p>☞<a href="https://www.allergy-doai.jp/"target="_blank

4月からのことにつきまして

ずいぶん長いこと更新せず、大変失礼いたしております。

 

当ブログ管理者が同愛記念病院を退職したため、その後は更新をしておりませんでした。2022年に新しいスタッフが赴任されることとなり、当ブログも旧スタッフの作成ということもありいったんクローズさせていただくこととなります。内容に関しましては、クローズ後に新規ブログを立ち上げてそちらに移植させていただく予定です。

 

長らくのご愛顧、誠にありがとうございました。

寒くない「寒い国」、寒い「寒くない国」

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四日市駅前(写真と記事は関係ありません)

以前にテレビを見ていて、「北海道の人の方が沖縄の人よりも寒がりだ」ということを実証する番組を見たことがあります。真偽のほどは置いておいても、確かに北海道や北東北の家屋は冬暖かく軽装で過ごせるという話は良く聞きます。それに対してそれ以外の地域では、往々にして冬に屋内が寒く家に居ながらにして重ね着して過ごすことが一般的のようです。かつての留学先であった英国も勿論寒い冬が長い国でしたが、石造りにセントラルヒーティングでしたので冬はTシャツ1枚で過ごせておりました。先週ご来院された喘息のご高齢の女性が、ずっと自宅内にしか居ないのにしょっちゅう喘鳴を起こすと嘆いておられましたのでよくよく聞いてみますと、水回りやトイレ・脱衣所が極端に寒くて暖房の効いたリビングからトイレに行くたびにゼーゼーするというのです。これはまさにヒートショック(=冷気)による喘息の悪化です。地球上で最も心安らぐ場所であるべき自宅内で喘息の悪化をきたすというのは本当にお気の毒で、日本家屋のヒートショック対策の必要性を痛感させられたエピソードでありました。本日はそんな冬への備えに関するお話しです。

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呼吸法、習ったことありますか?

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オオコノハズク


同愛記念病院アレルギー呼吸器科には、毎日たくさんの喘息・COPD患者さんが来院されます。これらの疾患の第一選択薬は吸入薬になります。吸入薬は内服薬と違って気管支局所に分布しますので、全身への副作用が出にくいメリットがあります。しかしその反面、上手に吸入しないとおくすりが気道粘膜まで届かず効果がでません。いきおい初回処方時には、外来で吸入法の即席レッスンをすることになります。若年で理解力がある患者さんであれば問題ないのですが、ご高齢の患者さんですとなかなか吸入手技が上達されないこともしばしばです。今回はこの「吸入薬」に関するおはなしです。

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アイディアの逃げ足

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天王寺動物園のカバさん


忙しい日常診療の中で、あるときふと臨床の素朴な疑問が頭に思い浮かぶことがあります。多くのそれは次の作業に移ると速やかに忘れ去られてしまうのですが、実はとても良い臨床研究のアイディアであったりします。これまで当科でも、高速エレベーター内の気圧変化が気胸発症のトリガーとなることに気づいたり1)間質性肺炎急性増悪にタクロリムスが有用であることを発見したり2)、長期経口ステロイドによる日和見感染リスクの上昇はプレドニゾロン一日量換算の6.5mg以上で生じることなど3)を論文化してきました。これらの業績も元はといえば、私がふと思いついたことに端を発しているわけですが、これがいつもうまくいくとは限りません。今回はそんなお話しです。

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コイントスの統計学

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平等院鳳凰堂(10円玉の裏にあります)


いうまでもなく、医学とは理系の学問でありサイエンスです。それゆえ受験科目には数学・物理・化学などの理系科目が英語とともにガッツリと課されていることがほとんどです。かくいう私も、理系のセンスなど皆無であり受験の際には苦労したものです。なってしまえば実はそれほど数学や物理にはお世話になることはない業務内容なのですが、どうしてもついてまわる理系科目が「統計」です。今回はそのお話しです。

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