同愛記念病院アレルギー呼吸器科のブログ

スタッフ4名+医局秘書1名+部長1名で日々楽しく頑張っています。 大学の医局に関係なく、様々なバックグラウンドのドクターが集まっています。 後期研修希望者や(現在ほかの病院に勤務されている先生の)期間限定の国内留学のお問い合わせも受け付けております。アレルギー呼吸器以外の御専門の先生でも歓迎いたします。ご興味のある方は allergy6700@yahoo.co.jp までご連絡ください。 <p>☞<a href="https://www.allergy-doai.jp/"target="_blank

寒くない「寒い国」、寒い「寒くない国」

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四日市駅前(写真と記事は関係ありません)

以前にテレビを見ていて、「北海道の人の方が沖縄の人よりも寒がりだ」ということを実証する番組を見たことがあります。真偽のほどは置いておいても、確かに北海道や北東北の家屋は冬暖かく軽装で過ごせるという話は良く聞きます。それに対してそれ以外の地域では、往々にして冬に屋内が寒く家に居ながらにして重ね着して過ごすことが一般的のようです。かつての留学先であった英国も勿論寒い冬が長い国でしたが、石造りにセントラルヒーティングでしたので冬はTシャツ1枚で過ごせておりました。先週ご来院された喘息のご高齢の女性が、ずっと自宅内にしか居ないのにしょっちゅう喘鳴を起こすと嘆いておられましたのでよくよく聞いてみますと、水回りやトイレ・脱衣所が極端に寒くて暖房の効いたリビングからトイレに行くたびにゼーゼーするというのです。これはまさにヒートショック(=冷気)による喘息の悪化です。地球上で最も心安らぐ場所であるべき自宅内で喘息の悪化をきたすというのは本当にお気の毒で、日本家屋のヒートショック対策の必要性を痛感させられたエピソードでありました。本日はそんな冬への備えに関するお話しです。

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呼吸法、習ったことありますか?

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オオコノハズク


同愛記念病院アレルギー呼吸器科には、毎日たくさんの喘息・COPD患者さんが来院されます。これらの疾患の第一選択薬は吸入薬になります。吸入薬は内服薬と違って気管支局所に分布しますので、全身への副作用が出にくいメリットがあります。しかしその反面、上手に吸入しないとおくすりが気道粘膜まで届かず効果がでません。いきおい初回処方時には、外来で吸入法の即席レッスンをすることになります。若年で理解力がある患者さんであれば問題ないのですが、ご高齢の患者さんですとなかなか吸入手技が上達されないこともしばしばです。今回はこの「吸入薬」に関するおはなしです。

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アイディアの逃げ足

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天王寺動物園のカバさん


忙しい日常診療の中で、あるときふと臨床の素朴な疑問が頭に思い浮かぶことがあります。多くのそれは次の作業に移ると速やかに忘れ去られてしまうのですが、実はとても良い臨床研究のアイディアであったりします。これまで当科でも、高速エレベーター内の気圧変化が気胸発症のトリガーとなることに気づいたり1)間質性肺炎急性増悪にタクロリムスが有用であることを発見したり2)、長期経口ステロイドによる日和見感染リスクの上昇はプレドニゾロン一日量換算の6.5mg以上で生じることなど3)を論文化してきました。これらの業績も元はといえば、私がふと思いついたことに端を発しているわけですが、これがいつもうまくいくとは限りません。今回はそんなお話しです。

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コイントスの統計学

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平等院鳳凰堂(10円玉の裏にあります)


いうまでもなく、医学とは理系の学問でありサイエンスです。それゆえ受験科目には数学・物理・化学などの理系科目が英語とともにガッツリと課されていることがほとんどです。かくいう私も、理系のセンスなど皆無であり受験の際には苦労したものです。なってしまえば実はそれほど数学や物理にはお世話になることはない業務内容なのですが、どうしてもついてまわる理系科目が「統計」です。今回はそのお話しです。

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臨床研究の理想と現実

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庄川峡(富山県南砺市)*写真と記事は関係ありません。


秋の台風シーズンとなり、当科にもその影響でぜんそく悪化を来して受診される患者さんが増えてきています。不思議なことに、ぜんそくの悪化は台風の接近時に最大となり台風が到達すると和らぎます。気圧自体は最低になっているはずの台風到達時に症状が最悪にならないのは、恐らくぜんそくそのものが気圧の絶対値に反応して悪化しているのではなく気圧の継続的な低下方向への変化に対して反応しているからだと推測されます。そんなことはぜんそく患者さんを多数診療しているドクターからすれば当たり前のことではありますが、なかなか論文化して証明することは難しいようです。このように、現実世界では明確に存在している臨床的事実のすべてが論文化という形でエビデンスになっているわけではありません。世の中にはエビデンス化がしやすいものとそうでないものがあります。エビデンス化されたことはたまたまその案件が論文化しやすかっただけのことであり、エビデンス化されていないことでも臨床的に大変重要なものもあります。したがって、エビデンス化されたものだけが真実だとはゆめゆめ思わない方が身のためだと思われます。

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