臨床研究の理想と現実
秋の台風シーズンとなり、当科にもその影響でぜんそく悪化を来して受診される患者さんが増えてきています。不思議なことに、ぜんそくの悪化は台風の接近時に最大となり台風が到達すると和らぎます。気圧自体は最低になっているはずの台風到達時に症状が最悪にならないのは、恐らくぜんそくそのものが気圧の絶対値に反応して悪化しているのではなく気圧の継続的な低下方向への変化に対して反応しているからだと推測されます。そんなことはぜんそく患者さんを多数診療しているドクターからすれば当たり前のことではありますが、なかなか論文化して証明することは難しいようです。このように、現実世界では明確に存在している臨床的事実のすべてが論文化という形でエビデンスになっているわけではありません。世の中にはエビデンス化がしやすいものとそうでないものがあります。エビデンス化されたことはたまたまその案件が論文化しやすかっただけのことであり、エビデンス化されていないことでも臨床的に大変重要なものもあります。したがって、エビデンス化されたものだけが真実だとはゆめゆめ思わない方が身のためだと思われます。
毎日がドッジボール
みなさんは幼い頃に「ドッジボール」という球技を体験されたことがあるでしょうか?バレーボールくらいの大きさのボールを使って行う球技で、ノーバウンドでぶつけられると内野から外野に追い出されて外野から内野の人にボールを「こきつければ」(=福岡方言)再度内野に戻れるという競技です。私も幼かりし日には参加したり、させられたりした思い出があります。今にして思えば、いじめ量産兵器のような競技であった気がしますが…ここで告白させていただきますと、実は私はこの競技を得意としておりました。スクールカースト最下位で影が薄くかつ内野両側前方寄りにある「投げ手の死角」を熟知していた私は、たいがい最後まで生き残りその時だけクラスのヒーローでありました。英語の「ドッジ」には「避ける・除ける」という意味がありますが、今日はアレルギーにまつわるドッジボールなお話しです。
やる気にはムラがある。
しばらくブログの更新がなかったので、ここのブログマスターに何かあったのではと心配していただいた読者がおられましたらこの場を借りてお詫び申し上げます。7月から8月上旬にかけては赴任以来のヤバい多忙さでなかなか更新ができない状況でした。ようやく一息つきましたので、久しぶりにまたつらつらと書かせていただいております。
どうしてそんなに多忙だったのかというと、それは講演が多数あったからなのですが、当然ながら講演を行うにあたりスライドセットが必ず必要になります。もし持参し忘れるとマイクを持っている都合上、代わりに壇上で歌でも歌わなければいけなくなるので(笑)事前にしっかり準備してUSBフラッシュディスクと自分へのメール添付・送信で二重バックアップして臨みます。スライド作成は本当に大変手間と労力がかかる作業です。相当なエネルギーとやる気がないと仕上がりません。一日外来三昧で疲れ果ててからPCに向かっても、使い切った電池のごとく頭からは何も出てきません。そんな中でもなんとか講演スケジュールを無事にこなせたのには、実は秘密があります。今日はそんなお話しです。
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